諦める・いいえ諦めない

 友だちがmixiの日記に書いていた、みかんの木の話が好きだった。
 
 自分を求めてくれない人に、自分を差し出したって仕方ないというお話。

 私は今の恋人と出会い、とにかく自分に正直に、できるだけ素直に生きようと思った。

 どんなに自分がみじめでも、誇りを捨ててでも、素直になろうと。

 でも、今の私にはひとつだけ素直になれていないところがある。

 憎しみの力は強い。

 泥のようで、深い井戸のようで、抜け出せないこともしばしばで。

 遠くに見える太陽の光は、現実離れしていて愚かに見える。

 でもその深く暗い気持ちを知らない人間に、知ろうともしない人間に、知らなくても表現をできると思っている人間に、本当の太陽の美しさは分からない。春樹も書いていた。胸がしめつけられるようなその美しさ、神々しさ、安堵感、それを知らない人間は、やっぱり私は嫌いだ。

 縁があったりなかったり。そんなのは関係ない。私があなたを好き。それ以外に何がある?

 人間と人間のあいだに、感情以外のいったい、何があるの?