大阪

 ただ今一時帰省中です。帰省といっても、京都から大阪に来ているだけですが。
 ほとほと自分が嫌になります。どんどん大事なものを失っていくような気がします。今でも胃がじんじんと痛みます。けれどこれはたぶん、心の痛みなのだと思います。ひとりでいると気が変になりそうなので、絶えず人といたいと思っています。いつしか、私のことを心の底から受け入れてくれる人は現れるのでしょうか。私はすぐ人を好きになります。でも、相手は私のことをいつしか投げ出してしまいます。今まで私のことを見捨てなかったのは、みどりの人だけでした。

 ずっとずっと甘えてきて、その人が急にいなくなって、ただそれは相手にとってはじわじわとしたものだったのでしょうが、私にとっては大きな柱が急に失われてしまったよう。私は木造30年の一戸建てです。西向きで、湿気が多い家です。脆く弱く、硝子のジェンガです。そんな自分とずっと一緒に、24年生きてこられたことは、まさに奇跡のような気がします。脆いまま生きてこられたのは、たぶん周りに恵まれていたのでしょう。私は私である限り、私として生きている限り、私を見捨てられはしないのです。私は私のことがどんなに嫌いでも、私という殻を捨てられはしないのです。

 歌を歌っていると、自分は生きていると感じます。歌うことと書くことが、私を救ってくれます。もちろん土曜日の深夜に2時間以上も私の泣き言に付き合ってくれる、遠い場所にいる友人にも、救われています。だから生きていけるのかもしれないと思います。
 
 でも、今は何も考えずただ5秒先のことだけを考えましょう。遠い場所で新たに生まれた恋の話のことは、もちろん頭をよぎります。今まで自分を支えてきてくれて、頼ってくれて、笑顔で食をともにした彼が、自分よりも素晴らしい女性と恋に落ちたこと。完璧な嫉妬を覚えます。それはもちろん、私が人間だからです。彼を愛していたからです。
 人の気持ちはいつか変わる。でも変わらないものもあると、私は信じます。誰に何と言われようと、それは信じます。何故ってそれは、私の気持ちは1年前とそのまま、何も変わってません。みどりの人への気持ちも、彼への気持ちも。

 さようならとありがとう。春は大嫌い。大嫌い。深海の底へ沈んでいく季節。たまに息ができなくなる瞬間があります。ずっと予定を入れなければ。足はがくがくと震えます。ねえ、暗闇は怖い。私はもう一度、前の春のように立ち上がることができるのでしょうか。今度は自分の力で。誰か力を下さい。