学校では昨年の秋学期よりかは話す人が増えた。
 秋はほとんど1人で過ごして、ご飯も1人で食べて、ずっと1人で孤独で耐えられなくなって死にそうだった。今ふりかえってみるとあんまり印象が薄い。すべてにおいて。ほとんど何も覚えていないくらい。そういえば映画撮ったのになぁ。原作脚本監督して。疲れたけど楽しかった。まあそれくらい。
 実技試験の日にインフルエンザにかかった。大雪が降り、伴奏が途中で止まった。インフルエンザが治ると、憑き物が落ちたかのように身が軽くなった。何故だか分からないけれど、それは本当。
 そいでそんな時に今の彼と出会った。
 彼に助けられて今、生きているのだなぁと強く感じる。
 
 私をひどく傷つけた彼女はあいかわらず人の輪の中で楽しそう。要領が良くて楽天家で淡白で、私は憎くて憎くて仕方がない。凝り固まってそのまま銅像にでもなれるんじゃないかと思うくらい。けれど会わなければいけない。そしてこのままでもいけない。どうにかしないと苦しいのは自分で、彼女は私とのいざこざのことなんかもう忘れてしまっていて、それが哀しい。哀しい。泣けてくる。いいや涙なんか出ない。でも哀しいのだ。

 今、学校で本当の意味で語り合える人なんかいなくて、別にそれでもいい。友情ってなんなのか、よく分からないや。とよく彼は言う。彼は友人にハナから期待をしていない。私は友情ってものを過信していた。もしくは友情なんて最初からなかったのに。
 それでもいい、別にいい。