生きている

 生きているのが不思議です。

 道を歩いていても、牛乳を飲んでいても、働いていても常に現実感がなく、ふらふらっとどこかの穴に吸い込まれてしまいそうになります。誰かが私を呼んでいるような気がします。自分がどうして生きているのか、不思議です。もう自分に付き合うのが嫌になります。自分を手放してしまいたくなります。それでも息をしています。人間って不思議です。本当に、不思議です。

 依存といわれてば仕方ないけど、私は依存よりももっと大きい何かを彼に託していたのだと思います。それはたぶん、自分はやっとまっとうに生きられるのかもしれない、という期待でした。だからまた深海に戻らなければいけないと分かった時、苦しみと不安が私を襲いました。夜中の津波のようでした。私にとって彼は、明るさの象徴でした。私はずっと、高校の時から暗闇の迷路を迷っています。

 手探りは怖いです。今、とても怖いです。書かずにはいられないくらいです。懐中電灯を探そうとしたけれど、球切れでした。私には照らす道具が見つかりません。私は私を憎んでいます。夢であったらいいのに。夢であったら、どんなにかいいだろう。

 お願いだから、新しい誰かを探せだなんて、みどりの人みたいなことを言わないで下さい。もう私は新しい誰かを探したくない。ただ心を乱されずに生きたい。何も考えずに、死ぬように生きられればそれが最高の幸せです。朝なんてこなければいい。